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UTAKATADO NEWS
西からの光 Miki tyo Ver.03 oct. 16:41:47

所幸則新作写真集「うさぎガールと黒縁眼鏡」

所幸則さんの新作写真集「うさぎガールと黒縁眼鏡」が出来上がりました。

この写真集は、ONE SECOND SHIBUYA、Einstein RomanceにつづくOne Secondシリーズの新作に位置付けられている作品集で、これまでのモノクロのスタイリッシュな作風から少し趣のことなる作風となっているのが特徴です。硬質でコンセプトや絵作り重視であったこれまでの作品から、親密でありながらどこかノスタルジックな作風へと変化していて、所さんにしては異質な空間が広がっています。家族を前面にとらえ、娘にある未来と自分の時間の足りなさを対比させながら、one secondという基調コンセプトは変わりません。

僕はこの写真集のキーとなるイメージを初めて見たとき、なんだかいい作品になるなと直感しました。コンセプト重視な所さんの作風に、「家族」という新しい要素がくわわり、より人間臭くなった、とでも言いましょうか。

プロジェクトの流れの中で、所さんのパートナーがデザインに加わったのも特徴の一つです。ピンクを基調として、若々しく、みずみずしく、可愛い本に仕上がったと思います。

クラウドファンディングでの資金調達をへて作った本ですので、所さんとしてはできるだけ安価で誰もが手に取ってくれるような可愛い本、という希望があり、出来上がった質感をみてもその価格ではありえない仕上がりだと思います。

子供たちと親、という生きる中で必然的に立ち上がる関係性は、時として難しい問題を突きつけることもあります。所さんとしても、娘との時間には切ない思いもあるわけで、それが少しでも伝わるとうれしい、と話していました。

ぜひ、手にとってご高覧ください。

 

うさぎガールと黒縁眼鏡

Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro

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Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro

前作アインシュタインロマンスの写真集が出版され、個展ラッシュもピークを過ぎた 2015 年の 10 月 2 日に、 やっと娘(当時 7 才)との時間が持てるようになった。数日後、夏物と秋物をクリーニングに出すために娘と 二人で大きな袋を抱えて出かけることになった。ところが、その洗濯物の量があまりに多く、クリーニング店 の人に「伝票作るのに 20 分以上はかかりそうよ」と言われたので、その辺をぶらぶら散歩しよう手を繋いで 歩いていた。

「そこ曲がると通ってる小学校だよ。」 娘は、ある通りの角を目指して僕の腕を引っ張った。そこは、トタンの壁に光が反射し、手前の草むらに光が 絶妙にあたる美しい光の場所だった。この場所に出会わなければこのシリーズは生まれなかっただろう。これ を天の配剤というのだろうか。

「あっ、こっちゃん、光の道ができてるよ、壁は舞台みたいだね。」 「ほんとだね!」娘もバレエを習っているからかすぐ理解したみたいだった。 「道を走って飛んで、舞台で降りてごらんよ。」と僕がいうと、娘はすべてを瞬時に理解して、走って飛ぶのだっ

た。

その時、秋物のコートに dp1-Quattro が入っていたので、1 作品目はこうして生まれたのだ。当時は、散歩が てらに娘と興じる撮影に「お散歩ジャンプ」と名付けていて、特段本格的なシリーズにするつもりはなかった のだけれど、この作品を見た友人のプッシュもあって六甲国際フォトフェスティバルにレビューしてもらいに 行ったら、アメリカ、ドイツをはじめ世界中からきていたレビュアー達に、One Second sibuya やアインシュ タインロマンスを含め全員が概ねいい評価をしてくれた。(「お散歩ジャンプ」は、のちにニュアンスが日本語 以外で言語化しにくいという理由もあり、Rabbit Girl and Black Framed Eyeglasses うさぎガールと黒縁眼鏡 に変更した。)このシリーズは、娘が 8 才になるまで撮るつもりだ、とドイツ人に言ったら、大丈夫だうちの 娘は 9 才でもパパってハグしてくるぞ!と返事をされて、娘がその気の間は撮ろうと決意して、今も撮っている。

この作品も、他作品と同様、僕にとっては時間がテーマだ。これには二つの意味がある。一つは、僕の作品づ くりの特徴である撮影技法上の時間要素。そして、人生に渡る時間的概念だ。母と娘は生まれる前から一緒で、 生まれてからも女性というくくりで仲間や友達みたいに不可分だ。一方の男親の僕は、2 人のために社会に出 て働いている。そういった社会的要因もあり、子供、特に娘がパパと触れ合う時間は特に少ないように感じる。 所詮父親は異性なのだ。無邪気にパパとお散歩したーい!と言ってくれる時間は人生の中では一瞬なのだ。光 の中を何度も走って思いっきりジャンプをしている娘の姿を見ていると、ああ、彼女にはこれから長い人生が あるんだな、と素直に感じ入ってしまう。ある意味、残された娘の時間を羨ましいと感じる少し疲れ気味の僕 がいるわけだ。僕には、もう彼女ほど元気に飛び回る元気も、無限に広がる未来もないのだ。

僕はこのシリーズを成長した娘に捧げたい。そして、僕と同じような思いを共有する親や子供達にも届けたい 作品集だ。僕の思い入れが、みんなへの共感として伝われば、これにまさる喜びはない。

所 幸則

©Naohiko Tokuhira

UTAKATDO FAIR 2016

河の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。

これは方丈記の有名な書き出しの一文です。うたかたとは淀みに浮かぶ泡のことですが、浮かんでははじけ消えるそのありさまがまるで写真のようだと、このうたかた堂の名前を思いつきました。写真の大量生産、大量消費をそのまま当てはめて揶揄しながら、なんとかはじける前の一瞬一瞬を留めておきたいという願いからです。

うたかた堂で出版したプロジェクトはごくわずかですが、いろいろな取り組みから写真の良いところ、悪いところを見てきた僕としては、写真の発表の一つの場として何ができるのかを考えながら進めてきました。クラウドファンディングを取り入れたり、デザイン・編集費をほとんどとらない形態を試してみたり、できるだけ安価に写真集を作る方法を模索していたのが現実です。そういう写真集は僕自身が編集してデザインするのですが、ちゃかちゃかとパソコンで作業してまとめ上げることができれば個人でも好きなように作れる時代であることは間違いありません。編集はとても大切ですが、これはストーリーを見出す技術とノウハウが必要だからです。ステートメントももちろん大事ですが、こればかりはいかに美しい日本語を書けるかにかかっています。デザインは、低コストではできることが限られますが、そのコストに見合った正当な方法をとればまともなものは作れることも間違いないのです。

写真集は、海外のものを含めて現在とても盛況です。ただ、国内の写真集出版は攻めているところとそうでないところ、著名な写真家ばかりを取り上げて繰り返し繰り返し焼き直す手法、著名ではないが実力派の写真に光をあてるところ、ダミーブック、ファウンドフォトを取り上げるなど、様々な試みがあって面白いような面白くないような。ひとつが流行ればみんなそこに集中して、結局は全体に沈下していくようなプロジェクトも数多くあるように思います。ただ、純粋に写真を発表する場として考えれば、どういうアウトプットであれモノが残るというのはとても大切です。

著名なデザイナーや編集者はどういう写真集を作るのかを見てきましたが、なるほどコストをかけて趣向を凝らしたりいろいろなことをやっていて面白いと感じる反面、海外のより自由で奔放な作り方を見ていると国内のそれは勝負できてないと感じることも多いし、自分で作っていくダミーブックでもワークショップなどを介してデザインや編集方針が画一化していくのはいつものこと。そんな中でうたかた堂の写真集は作られてきました。低コスト写真集がいいか悪いかは別としても、写真そのものを淡々と見せながらマーケットを見ていくというのがとても大切だと感じています。

7月はうたかた堂フェア+shashasha pop-up storeと称して、うたかた堂で写真集を作ってきた写真家を特集する写真展を開催、shashashaの大西洋さんを迎えて強力な写真集を販売するほか、写真集を作るプロジェクトを探してみたり、3年ぶりに来日するDavid Schalliolや参加写真家のトークショーを予定しています。

うたかた堂写真集フェア+shashasha pop-up store

期間:7月2日(土)- 31日(日)

場所:Gallery TANTO TEMPO

展示参加写真家:David Schalliol Patrick Taberna Francine Fleischer 横島清二 今井宏 阿部萌子 菅武志 名古根美津子 徳平尚彦 竹本英樹 大口勝弘(以上UTAKATADO)浜口タカシ(shashasha)

写真集販売:shashashaから約100冊(大幅ディスカウントの写真集多数)

イベント

写真集を作ろう!

shashashaの大西さんとGallery TANTO TEMPOの杉山が写真をレビュー。写真集制作の可能性を探ります。(参加費3000円・4-5名:6月27日現在残席数席数1です)

第1回目 7月2日(土)午後2時から

第2回目 7月30日(土)午後2時から

David Schalliolおよび参加写真家トークショー

7月2日(土)午後5時より レセプションあり 参加無料

shashasha大西さんとGallery TANTO TEMPO杉山のクロストーク

テーマ:写真のうつろい

7月31日午後5時より レセプションあり 参加無料

 

新着写真集

徳平尚彦「日本の住まい – Japanese Housing」

Soft Cover

72P

Full Color

¥2,500 (税抜)

発売:7月

pre-order

 

 

 

Japanese Housing / Naohiko Tokuhira

U05-001

Japanese Housing / Naohiko Tokuhira

第二次世界大戦や繰り返される台風、震災などの自然災害と向き合ってきた日本。うさぎ小屋と揶揄された庶民の住まい、戦後の経済成長を見守ってきた大規模団地、そして山手の一軒家。

世界に類を見ない住宅構造は、こういう特殊な条件から生まれたものだ。

徳平尚彦は都市の構造を撮影する写真家だ。この写真集では日本の住宅事情の複雑さを撮影することで新たな都市の構造を明らかにしている。

 

du Portugal, flôlement / Patrick Taberna

U04-004

du Portugal, flôlement / Patrick Taberna

ポルトガルから、軽く触れること

写真家Patrick Taberna にとって、旅とは生きることだ。旅とは、ともに歩

む道のりであり、伴侶でもある。旅は道すがら出会う風景の煌めきの一瞬だ。

写真を撮ることとは何か。何が写真家をそこに向かわせるのか。

映画やテキストに触発されて訪れた街。そこで見つけた風景。このシリー

ズには、のちの彼の作品をなす方法、企み、独特の写真づくりが随所に見

てとれる。

1995 年のポルトガル。この地において、彼は写真家として生きていく決意

をする。みずみずしい感覚が隅々までいきわたるパトリック・タベルナの

ポルトガルシリーズをぜひご覧ください。