UTAKATADO PUBLISHING | Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro
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Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro

U17-001

Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro  (U17-001)

Retail Price(Excluding Tax)
¥2,000
Stock Status : In Stock

Rabit Girl & Black Rimmed Eyeglasses / Yukinori Tokoro

前作アインシュタインロマンスの写真集が出版され、個展ラッシュもピークを過ぎた 2015 年の 10 月 2 日に、 やっと娘(当時 7 才)との時間が持てるようになった。数日後、夏物と秋物をクリーニングに出すために娘と 二人で大きな袋を抱えて出かけることになった。ところが、その洗濯物の量があまりに多く、クリーニング店 の人に「伝票作るのに 20 分以上はかかりそうよ」と言われたので、その辺をぶらぶら散歩しよう手を繋いで 歩いていた。

「そこ曲がると通ってる小学校だよ。」 娘は、ある通りの角を目指して僕の腕を引っ張った。そこは、トタンの壁に光が反射し、手前の草むらに光が 絶妙にあたる美しい光の場所だった。この場所に出会わなければこのシリーズは生まれなかっただろう。これ を天の配剤というのだろうか。

「あっ、こっちゃん、光の道ができてるよ、壁は舞台みたいだね。」 「ほんとだね!」娘もバレエを習っているからかすぐ理解したみたいだった。 「道を走って飛んで、舞台で降りてごらんよ。」と僕がいうと、娘はすべてを瞬時に理解して、走って飛ぶのだっ

た。

その時、秋物のコートに dp1-Quattro が入っていたので、1 作品目はこうして生まれたのだ。当時は、散歩が てらに娘と興じる撮影に「お散歩ジャンプ」と名付けていて、特段本格的なシリーズにするつもりはなかった のだけれど、この作品を見た友人のプッシュもあって六甲国際フォトフェスティバルにレビューしてもらいに 行ったら、アメリカ、ドイツをはじめ世界中からきていたレビュアー達に、One Second sibuya やアインシュ タインロマンスを含め全員が概ねいい評価をしてくれた。(「お散歩ジャンプ」は、のちにニュアンスが日本語 以外で言語化しにくいという理由もあり、Rabbit Girl and Black Framed Eyeglasses うさぎガールと黒縁眼鏡 に変更した。)このシリーズは、娘が 8 才になるまで撮るつもりだ、とドイツ人に言ったら、大丈夫だうちの 娘は 9 才でもパパってハグしてくるぞ!と返事をされて、娘がその気の間は撮ろうと決意して、今も撮っている。

この作品も、他作品と同様、僕にとっては時間がテーマだ。これには二つの意味がある。一つは、僕の作品づ くりの特徴である撮影技法上の時間要素。そして、人生に渡る時間的概念だ。母と娘は生まれる前から一緒で、 生まれてからも女性というくくりで仲間や友達みたいに不可分だ。一方の男親の僕は、2 人のために社会に出 て働いている。そういった社会的要因もあり、子供、特に娘がパパと触れ合う時間は特に少ないように感じる。 所詮父親は異性なのだ。無邪気にパパとお散歩したーい!と言ってくれる時間は人生の中では一瞬なのだ。光 の中を何度も走って思いっきりジャンプをしている娘の姿を見ていると、ああ、彼女にはこれから長い人生が あるんだな、と素直に感じ入ってしまう。ある意味、残された娘の時間を羨ましいと感じる少し疲れ気味の僕 がいるわけだ。僕には、もう彼女ほど元気に飛び回る元気も、無限に広がる未来もないのだ。

僕はこのシリーズを成長した娘に捧げたい。そして、僕と同じような思いを共有する親や子供達にも届けたい 作品集だ。僕の思い入れが、みんなへの共感として伝われば、これにまさる喜びはない。

所 幸則

Quantity

Takeki Sugiyama